「事業承継は何のためにするのでしょうか?」
当たり前のようなこの問に、明確に答えられる方はどれだけいるでしょうか?
私は、多くの経営者や後継者と関わって事業承継の話しをしてきましたが、ほとんどがその問に即答できませんでした。
おそらく「承継の理由」を考えないくらい承継していくことは、あたりまえのことなのだと思います。
ただ、一方で、事業承継が当たり前すぎて、承継のぎりぎりになるまで事業承継のことを考えておらず、その結果、事業承継が思うようにいかず、失敗してしまうケースが多々ある のです。
私は、全国で事業承継の話しを聞いていますが、事業承継が失敗する理由が以下の6つに集約できると考えています。
- 後継者がいない
➤後継者を指名したり、育てていないため、承継の前になって後継者がいないことに気づいてしまい、事業譲渡や廃業といった選択肢しかなくなってしまうかもしれません。 - 後継者が主体者になっていない
➤事業承継のキーマンである後継者が、言われるがまま後継者になっていたりして受け身だと継いだあとで全員が後悔することになってしまうかもしれません。 - 関係者の思いがすれ違っている
➤事業承継は、それぞれの人生が大きく変わる時であるがゆえに、それぞれ別々の思いを抱いていますが、その思いを話し合ってすり合わせしないまま承継してしまうと、後でもめごとになってしまうかもしれません。 - 事業承継の最適スキームが描けない
➤事業承継に必要な知識やノウハウは、事業承継時期しか使わないものがほとんどなので、経営者や後継者が十分な知識をつけられず最適な段取りなどやり方が描けないかもしれません。 - 事業と人生の将来が見えない
➤目の前の問題を解決しようとばかりしていると短期的視点にしかならず行き当たりばったりの事業承継になってしまうかもしれません。 - 後継者の育て方がわからない
➤ほとんどの経営者は、後継者(経営者)を育てたことはないので、育て方を知らないのです。後継者は経営者として必要な知識や視点などを身につける前に経営しなくてはならなくなり経営を悪化させてしまうかもしれません。
上記のような理由などから事業承継がうまくいかない、ということをよく聞きますが、
逆に言えば、まずは上記のような理由をクリアして失敗しないようにすればいいのです。
失敗しなければ、事業承継を機会に発展・成長することも可能です。
次回のコラムは、失敗理由のひとつひとつをもう少し具体的に掘り下げていきたいと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
後継者の学校 代表 大川原基剛