岡田斗司夫さんが話していた「思考の肺活量」という言葉が、とてもわかりやすかったので、後継者の皆さまに合わせた形でご紹介します。
これは、どれだけ深く、広く、長く考え続けられるかという“思考の持久力”のようなもの。
スポーツで肺活量が必要なように、経営にもこの「考え続ける力」がとても大切だ、という話です。
思考の肺活量が足りないと、課題に対したとき息が続かずに、つい目先の答えに飛びついてしまいがちです。
たとえば、売上が落ちたとき、「営業がサボってるんじゃないか?」と決めつけてしまう。
でも、本当の原因は、商品の魅力だったり、市場の変化だったり、もっと複雑なところにあるかもしれませんよね。
考えるスタミナがないと、「とりあえず納得できる理由」で片づけてしまって、それ以上掘り下げるのをやめてしまいます。
すると、判断を誤ったまま動いてしまい、ますます事態がこじれてしまうことも。
一方で、思考の肺活量がある人は、簡単に結論を出しません。
「本当にそうだろうか?」「他の見方はないかな?」と問いかけながら、じっくり考え続けることができます。
広く、深く、ねばり強く。その思考が、経営の質を高め、より本質的な意思決定につながっていくんです。
そして、この力は、「才能」ではなく、「あとから鍛えられるもの」なんです。
後継者の学校でもお伝えしている“コンピテンシー”という考え方に通じますね。
コンピテンシーとは、生まれつきではなく、経験や学びを通じて身につけていける力のこと。
たとえば、論理的に考える力や、人の気持ちに寄り添う力、粘り強く考え続ける力などがそれにあたります。
思考の肺活量も、まさにこのコンピテンシーのひとつだと思います。
日々のちょっとした場面で、「本当にそれだけが原因かな?」「別の角度から見たらどうだろう?」と問いを持ち続ける習慣を意識してみるだけでも、少しずつ鍛えられていきます。
経営は、正解がすぐに見つかるものではありません。
だからこそ、「すぐに答えを出さず、じっくり問い続ける力」がとても大事です。
後継者としてこれから先、いろんな決断の場面に立つとき、自分の“思考の肺活量”を意識してみてください。
それは、未来を切りひらくための、確かな土台になっていくはずです。
後継者の学校 代表 大川原