正統派後継者 並木建造
インタビュー [日付]2019年12月3日(火) [場所]四谷 並木商店 [名前]並木建造 [学校期]東京4期 [年齢](現在)36歳 [会社]有限会社並木商店 [業態]精肉卸売業 [売上規模]5億円 [従業員数]26名(パート1名)
(大川原)並木さん、こんにちは。
今回から私がリスペクトをしている後継者・経営者にインタビューをしていくのですが、その第1弾が後継者の会の会長でもある並木さんです。よろしくお願いします。
(並木)はい。よろしくお願いします。
(大川原)早速ですが、並木さんの会社と現在のお仕事について教えてください。
都心の四谷で精肉店を営んでいる立地の特殊性と精肉加工の熟練度がつよみです
(並木)そうですね。
まずうちの会社についてですが、当社は有限会社並木商店という名で、新宿四谷で並木精肉店という屋号の店を営んでおります。町の人向けに肉の小売販売もしていますが、ほとんどは給食センターなどへの卸売りが中心です。
事業のつよみとしては、都心の四谷で精肉店を営んでいる立地の特殊性と精肉加工の熟練度ですね。
私の仕事は、お客様廻りの統括ですね。新規開拓や既存顧客との関係性強化などです。
あとは、最近は従業員教育にも力を入れています。外部の研修なども使いながらできるだけ従業員に外にでて刺激を受けてもらうように仕掛けています。
また、私がプレイヤーとして動きすぎると経営的なことができなくなるので、その時間をつくるためにも、お客様廻りについても、マネジメントのやり方を工夫したり、従業員教育をして私がいなくても主体的に従業員が動ける体制を作ろうとしています。
社員の成長と会社の成長の二つを大事にしています
(大川原)いいですね。まだ事業承継前ですが、経営者になる前段階で事業の市場とのコンタクト面と組織面を自らの手でコントロールされているのですね。さすがです!
では、並木さんがいま仕事で一番楽しいなと思うことってなんですか?
(並木)そうですね。
今一番楽しいなと思うのは、同業他社との連携です。
先ほどもいったように当社の強みは都心の立地でかつ卸売りが中心というところなのですが、例えば郊外の業者と連携することで、当社の顧客で郊外の事業をやっているところは当社の配送圏外でもあったりするので、郊外の同様の精肉業者と連携することもあるし、その逆に郊外の業者の都心顧客の対応を自社でしたりします。
また、焼肉屋などの飲食店からの相談などもあるのですが、そこは焼肉店に強い業者を紹介したりします。業界全体で顧客の取り合いではなく協業できればよいと考えています。
また、今年に入ってから、他社連携も含めて社員に気づきを得て成長をしてもらうようなことをしています。
評価の仕方も、ただ頑張ったからではなく、他人に教えることができてはじめて評価するようにしたりして工夫をしています。
社員の成長と会社の成長の二つを大事にしている感じですね。
祖父から幼稚園のころから期待されていた
(大川原)社員の成長と会社の成長。すばらしい。二つを切り分けて考えているのですね。並木さんが経営者として成長しているのを感じます!
では、ここから少し過去にさかのぼって話を聞いていきたいと思います。
並木さんの学生時代は、どんな学生でしたか?事業を継ぐことは考えていましたか?
(並木)私は、中学、高校、大学とエスカレータの私学でした。中高は男子校だったので、すごく楽しかったです。大学までアメフトにはまっていましたね。
継ぐことについては、「いずれそうなるかもな」という気持ちはありました。
父(社長)からは、継げといわれたことはありませんが、祖父からは幼稚園のころから事業を継いでほしいと期待されていたので、それは心のどこかにありました。
でも学生のころは、継ぐ気も継がない気ももっていませんでしたね。
(大川原)学生時代はそんなもんですよね。
ただ、おじい様の期待は並木さんの中で確実に何かを残していたのかもしれないですね。
では、大学から就職したときのことも聞いてみたいのですが、大卒ではいったのは、たしか食品商社の大手ですよね。なぜそこを選んだのでしょうか?
(並木さん)心のどこかで継ぐという意識もあったのかもしれません。
やはり育ってきた環境が食品に囲まれていたので、なじみのある業界を自然と選んでしまっていたのかもしれません。
心のどこかで継ぐという意識もあったのかもしれません。
大手だからできる人脈をつくったり、経験をすることができました。
子供が産まれてあらためて、ここまで育ててもらえたことに感謝が込み上げてきた
(大川原)なるほど、明確な意図はなくとも心が自然と動いているみたいですね。
では、その大手食品商社で修行をしてから承継する会社に入社することになるのですが、入社するということは、ある程度後継の意思があってのことになるのですが、その経緯を教えていただけますか?
(並木)はい。
30歳のときに入社することになるのですが、きっかけは25歳のときに私の子供が産まれたことが大きいですね。
私は、中高大と私立に通わせていただき、アメフトを高大とやっていたので、結構お金かかったと思うんです。
でも、うちの親父は何もいわずにお金を出してくれていました。
狂牛病のときなど会社的にはかなり大変だったようですが、その時でもお金のことなど何もいわれなかったのです。
社会に出て、子供が産まれてあらためて、親が事業をやっていたから、ここまで育ててもらえたことに感謝が込み上げてきたんです。
同時にそれを支えてくれていた従業員の皆さんに対しても同様の想いでした。
その時から家業を継ぐことを具体的に考え出したんです。
ただ、それから会社を辞めるのに結局5年間かかっちゃったんですけどね(笑)
私の運命を変える“後継者の学校”と出会いました
(大川原)自社に入社するまでもいろいろ葛藤があったんですね。
でも、親や従業員のありがたみを感じるのって、当たり前のようでそうではないので、すばらしいですね。
でも、成功している後継者はみなそれを感じているように思います。
では、そこから入社して家業の仕事をするわけですが、入社してから後継者の学校に入るまでの経緯をおしえていただけますか?
(並木)はい。
入社してからは、息子≒後継者として見られていたため、こちらも弱みは見せられないので、はじめはがむしゃらに能力以上のことをやろうとして、睡眠もけずって頑張っていました。
そんなとき、寝不足で事故を起こしてしまったんです。
幸い人に危害は加えずに済んだのですが、自損で車は大破してしまいました。
そして、このままじゃまずいなと思いながらも、同じ日々を繰り返してしまっていて、どうにかしなきゃという不安はありました。
そんな中で、私の運命を変える“後継者の学校”と出会いました。
最初は、後継者の学校パートナーの児玉さんからの紹介でしたが、最初きいたときは「へえ~」くらいの感じでしたが、なんとなく「入門講座」に参加してみることにしました。
入門講座では、やっぱり勉強する必要があるんだと気づくことができ、「ベーシックコース」に興味を持ち、参加することにしました。
ちょうど2016年のことです。
安心して学べる場所でした
(大川原)なるほど、ちょうどなにかしなきゃというタイミングで学校と出会ってくれたのですね。少しタイミングがずれたり、気持ちがずれていたりしたら、私とも出会えなかったかもしれないですね。まさしく運命ですね。
ありがたいです。
後継者の学校はいかがでしたか?
(並木)すごくよかったです。
プログラムの内容もすごくよかったのですが、さらに、同じ学びをして高め合える仲間にであえたことがよかったです。
特に、同期の寺内さんと出会えたことが大きかったです。
講師も同期も先輩も本気で話せるし話を聞ける、安心して学べる場所でした。
その分終わったときの学校ロスが寂しかったです(笑)
でも本当に学校に来ていなかったら途中で挫折していたかもしれません。
(大川原)そういってもらえると素直にうれしいですね。後継者の学校をつくってよかったとおもえます。
それを踏まえて、今にいたるわけですが、今はどうですか?
楽しいことを自ら探していくようになった
(並木)今は、楽しいですよ。
不安でもやもやしていたのがウソのように、楽しいことを自ら探していくようになりました。これは寺内さんの影響が大きいかもしれません。
逆に今苦しいこととしては、元々の並木商店から少しづつ変えていくなかで、元々いた社員がやめてしまうかもしれないのがつらいですね。
「並木商店で働いていたら大丈夫だね」といわれるような人材育成をしたい
(大川原)変化をさせようとすると抵抗されるのは世の常ですね。
では、並木さんはどんな経営者になりたいですか?
(並木)従業員が辞めたとき、次の会社などで「並木商店で働いていたら大丈夫だね」といわれるような人材育成をできる経営をしたいです。
少数精鋭ですが質を大事にしていきたいです。
子供には、「お父さんは仕事していて楽しそう」と思われたいです
(大川原)では、最後の質問ですが並木さんは60歳になったとき、どうなっていたいですか?
(並木)そうですね。周りで同業の人たちと協力体制を築いて、業界で無理をしないでも収益が上がる緩やかな提携をしたいと考えています。
あと、次世代への承継については、息子に継げとはいわないですが、私の姿をみて父のようになりたいと思えば反対はしないで後押ししようと思います。
子供には、「お父さんは仕事していて楽しそう」と思われたいですね。
(大川原)ありがとうございます。
業界の未来、会社の未来、息子の未来など、いろいろな未来を覚悟と責任をもって受け止めている感じがします。
4年前に出会ったときの並木さんとは別人なくらい経営者になっていますね。
とてもうれしいです。
これからもよろしくお願いします。
(並木)はい。こちらこそ、よろしくお願いします。ありがとうございました。